山本 真奈
会社の定款変更を Mac でやる方法をご紹介します。今回、本店住所を移動させる必要があったので、オンラインで定款変更申請をやりました。 ものすごく苦労したので、備忘録として書き記します。これでいつ何時定款変更する必要があっても大丈夫です!多分そうそうないことですが…。
定款変更に必要なシステムをダウンロードする必要があるのですが、これが windows しか対応していないというので、parallels Desktop を使いました。
オンラインで定款の本店住所変更を行う。
今回、株主総会議事録と株主リストは郵送にしました。
郵送の場合、押印は必要なし(住所変更の場合)です。他のケースでは必要かもしれないので、法務局にご確認ください。 オンラインで添付書類を送る場合は、各書類に電子署名が必要とのことでした。申請用総合ソフトでは、書類に IC カードリーダで電子署名をくっつけることができませんでした。電子署名のための電子証明書を申請しなくてはならない(さらに別のソフトをダウンロードする必要がある)し、使用料 3 ヶ月 1,300 円というので、郵送が格段に楽だったので、そのチョイスです。電子署名のツールがもともとある方は、電子署名でチョチョイでいいかもしれないですね。
(郵送なら押印いらないなら、書類も電子署名なしで良いのでは??申請提出するときに電子署名しますしね…)
以下、各項目を詳述します。
無料ソフトで Windows 入れられるものもあるようですが、色々検討してみた結果 parallels を今回は利用しました。無料トライアル14日分が最初に使えるのが決め手です。お値段も買い切りで 10,400 円。国の申請用ソフト、割と Windows しか使えないものも多いので、一つ持っておくのもありかなと思いました。 parallels ダウンロードはこちら
ここがハマったポイント一つ目です。 Mac で認識しているので当然 Windows Desktop でも認識されているものとばかり。認識されていないので、Windows に IC カードリーダを認識させる必要があります。
①parallels ボタン>デバイス> USB と Bluetooth >カードリーダ名でカードリーダ名にチェック
こちらの作業ですが、毎回 Windows 立ち上げる毎に、カードリーダ認識のチェックをつける必要があります。 また、私の場合これだけでは認識してくれなかったので、
② 設定>ハードウェア> USB と Bluetooth > Windows とスマートカードリーダを共有させる
こちらの Windows とスマートカードリーダを共有させるにチェックを入れてようやく認識してくれるようになりました。
ここで申請者登録をする必要があります。この登録ボタン、初見ではわかりにくいとこにありますが、ページ中程にあります。
こちらの URL から Windows Desktop でダウンロード・インストールを行なってください。
インストールが完了すると、こんなところに申請用総合ソフトがあるので起動させます。
こちらのログイン画面に登記・供託オンライン申請システムで登録した ID とパスワードを入力します。
法務局オンライン申請の説明のどこにも書かれていなかったのですが、Windows Desktop で JPKI 利用者ソフトをインストールしておく必要があります。Mac に入っていても関係ありません。これをしないと、IC カードリーダを申請用総合ソフトが認識してくれないのです。
こちらからダウンロードしてインストールしてください。
① 申請用総合ソフト>ツール>オプション>IC カード切替>使用する IC カードライブラリを選択してください>公的個人認証サービス
を選びます。 JPKI が無事インストールされていれば、ここで公的個人認証サービスが選べるようになっています。
② 次に、そのすぐ下のボックスの「現在インストール済みの IC カードを登録します」>登録> OK
スクショの通り JPKI のファイルを登録できていれば OK です。
③ ここで、最後に右下の「適用ボタン」を押してから「設定ボタン」を押すのを忘れてはいけません。絶対に。
こちらですが、申請用総合ソフト起動毎に設定する必要があったりなかったりするようです。電子署名が必要なのにうまくいかなかった場合などは、再度こちらを登録するようにしてください。
今回のミッションは法務局を跨いでの住所変更のため、旧本店所在地の管轄だった法務局に申請を2つ行わなければいけません。 ① 旧本店所在地を出ます申請、② 新本店所在地に入ります申請、の二つです。
よくわからなかったので、旧本店地管轄の法務局に申請を出し、新本店地管轄の法務局に入りますよ申請を出したところ、新本店地管轄の法務局から即電話がかかってきました。 大事な手続きらしいのですが、
「旧本店地管轄の法務局に二通を同時申請、かつ、順番を【出ます申請 → 入ります申請】で申請書の順位を書いて提出ボタンを押してくれ」
とのことでした。システム上こういう風にやらなくてはいけないらしく、UI/UX デザインの重要性を改めて実感しました…。
ちなみに、オンラインバンキングで登録免許税納付してしまった後だったので、税務署を通して還付金という形で半年後くらいに返ってくるらしいです。 そして、間違えてしまった申請書は、2件とも取下書を申請用総合ソフトで提出することになりました。
気を取り直して、再チャレンジです。 今回は
がミッションクリア条件になります。
申請用総合ソフト>申請書作成>商業登記申請書>登記申請書【署名要】>登記申請書(会社用)
こんな画面が出てきます。
!!書くことのポイント(ネットでググると書く様式が大体わかります。必要項目を適宜調べてください)
題名:「株式会社本店移転」登記申請書
会社法人番号:番号
商号:会社名
本店:※間違えやすい! ここは旧本店所在地を記入します
登記の事由:「本店移転」
登記すべき事項:別紙表示ボタン>種別:自分の会社の種別>作成例: 他の庁へ本店移転・旧本店用>転記 を押すと
「登記記録に関する事項」 令和 ○ 年 ○ 月 ○ 日 ○ 県 ○ 市 ○ 町 ○ 丁目 ○ 番 ○ 号に本店移転
が出ますので、ここに新本店所在地を記入して終了を押します。
登録免許税:30,000 円
添付書類:株主総会議事録 1通 株主リスト 1通
別送の有無:有 ※後述
(※取締役会設置会社は取締役会議事録も必要なようです)
申請人:※こちらでは移転後の本店所在地を記入します
宛先登記所:※旧本店所在地管轄の法務局を選びます
再度、申請書を作成します。 申請用総合ソフト>申請書作成>商業登記申請書>登記申請書【署名要】>登記申請書(会社用) ここまでは上と同じです。
題名:「株式会社本店移転」登記申請書
会社法人番号:番号
商号:会社名
本店:※間違えやすい! ここは新本店所在地を記入します
登記の事由:「本店移転」
登記すべき事項:別紙表示ボタン>種別:自分の会社の種別>作成例: 他の庁へ本店移転・新本店用>転記 を押すとなぜか
「商号」○○ 商事株式会社
「本店」○ 県 ○ 市 ○ 町 ○ 丁目 ○ 番 ○ 号
「会社成立の年月日」令和 ○ 年 ○ 月 ○ 日
「公告をする方法」官報に掲載してする。
「目的」
1 ○○ の製造販売
2 ○○ の売買
3 前各号に附帯する一切の事業
「発行可能株式総数」8000株
「発行済株式の総数」2000株
「資本金の額」金1億円
「株式の譲渡制限に関する規定」
当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を要する。
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務太郎
「原因年月日」令和 ○ 年 ○ 月 ○ 日重任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務一郎
「原因年月日」令和 ○ 年 ○ 月 ○ 日重任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務次郎
「原因年月日」令和 ○ 年 ○ 月 ○ 日重任
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」○ 県 ○ 市 ○ 町 ○ 丁目 ○ 番 ○ 号
「氏名」法務太郎
「原因年月日」令和 ○ 年 ○ 月 ○ 日重任
「役員に関する事項」
「資格」監査役
「氏名」法務花子
「原因年月日」令和 ○ 年 ○ 月 ○ 日就任
「存続期間」
会社設立の日から満50年
「取締役会設置会社に関する事項」
取締役会設置会社
「監査役設置会社に関する事項」
監査役設置会社
「登記記録に関する事項」
令和 ○ 年 ○ 月 ○ 日 ○ 県 ○ 市 ○ 町 ○ 丁目 ○ 番 ○ 号から本店移転
が出てきて、かなり戸惑います。
必要な部分は、
「登記記録に関する事項」 令和 ○ 年 ○ 月 ○ 日 ○ 県 ○ 市 ○ 町 ○ 丁目 ○ 番 ○ 号から本店移転
だけですので、他の部分は削除して、上の部分に旧本店所在地を記入して終了を押してください。
登録免許税:30,000 円
添付書類:無
別送の有無:無
申請人:※こちらでは移転後の本店所在地を記入します
宛先登記所:※旧本店所在地管轄の法務局を選びます
作り終えた申請書に IC カードリーダで署名を付与します。 初め申請用総合ソフトで作成した書類がどこにあるのかわからなかったのですが、画面中央はタブになっていますので、よくよく目を凝らすと「商業・法人」のタブが見えてきます。
そちらをクリックして作成した申請書を見つけてください。
それぞれの申請書に署名を付与します。
※添付書類に電子証明書付きにできている場合は、送信の前に「ファイル添付」ボタンからファイルを添付してください。作成方法は下記の項目に記載してあります。
申請データは2件同時に申請しなくてはなりません。 順位を書く場所があるので、
① 旧本店所在地用申請書 ② 新本店所在地用申請書
の順番で順位を半角数字で書いてください。
送信します。ここで色々間違えていると法務局担当者がメッセージを補正の部分に書いて送ってくれます。補正ボタンが青くなりますので、しばらく(1日くらい?)は登録免許税納付を待ってみてもいいかもしれません。 私の場合 5 分後に納付したため、補正がかかったときにはもう納付済みとなっていました。還付されるまでの半年間 6 万円は返ってきません…。
【株主総会議事録】
定款を変更するには、特則に掲げる事項を除き、株主総会の特別決議が必要となります(会社法 466 条)。 特別決議とは、原則として株主総会において議決権を行使できる株主の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の 2/3 以上の賛成で決議するものです。 引用元
とあります。 株主総会で特別決議を行い、議事録を作成したものを定款変更の添付書類として提出する必要があります。 上でも書きましたが、オンラインで提出する場合こちらの議事録に電子証明書をくっつける必要があり、ここまでくるのに色々ありすぎたため疲れ切った私は、下で紹介する株主リストとまとめて郵送しました…。 郵送の場合は押印の必要はないそうです!
【株主リスト】
こちらにテンプレートがあるので、適宜必要なものを選んで作成してください。
【かがみ(郵送用)】
「受付確認」ボタンの内容を印刷して、添付書類の表紙とします。 これで管轄法務局に郵送します。このとき、普通郵便ではなく簡易書留などを利用してくれと法務局ホームページには書かれていました。 封筒には自分の連絡先と「定款変更添付書類在中」を記載します。
オンラインバンキングでなくてもいいのですが、ここで登録免許税を納付しておしまいです。
長い長い旅でした。
めちゃくちゃ大変でした。法務局に直接出向いた方が早いという意見は…認めます!!!
定款変更してホッとしている場合ではありません。 税務署に申請やらなんやらかんやらまだまだ手続きは続きます...がそちらは e-Tax でも申請できるみたいなので、使い勝手は慣れているはず...。
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